「10年後の仕事図鑑」の紹介
今回は堀江貴文氏、落合陽一氏著の「10年後の仕事図鑑」を紹介したいと思います。
AIが仕事を奪い始める時代の中で
今後の社会の動向の一つとしてAIに仕事を奪われるのではないか、というネガティブな声が上がっています。本書ではそれを真っ向から否定しています。本書ではこれからの社会システムがどう変わるのかを述べつつ、その時代での生き方について教えてくれます。具体的には自分自身のコア(没頭できること)を持って行動できればこれからの社会で生きていけると述べています。
AIが仕事を「奪って」くれる
あらゆる仕事の中には具体例は挙げないものの、率先してやりたくない仕事(きつい、汚い、危険)が存在します。しかし、良くも悪くもそこに雇用が存在しているため仕事がなくなりません。「嫌なら辞める」という決断をみんなが実践することで人を確保するために給料を上げるか、機械化が進むという市場原理が働くと本書では指摘されています。給料を上げれば人が集まるのはZOZOTOWNのバイト募集で実証されています。
遊びでお金を稼ぐ
遊ぶことでお金を稼ぐ仕事(ユーチューバー、ブロガー、インスタグラマーなど)が生まれ始めています。ここでいう遊びは「作業に没頭している状態」でやっていることが重要です。没頭できる作業であればいくらでもやり続けられるし、仮に上手くいかないことがあっても簡単には放り投げることはないからです。そして没頭しているからこそ社会から共感が得られます。現在ではフォロワーがいることで収入を多く得られるコンテンツがいくらでもあります。そのため、共感を得られるほど収入も得られる構図ができつつあるのです。共感を得てもらうには情報収集(インプット)だけでなく、思いをもって発信する(アウトプット)することが大切です。
どう遊んだら良いのか
没頭することが重要なのは分かりましたが、次にどう遊べば良いのかとう問題に突き当たります。本書では、「自分にしかできない状況を創り出せ」と述べています。今後さらにAIのコストが低下し、人に仕事をさせるより機械に仕事をさせた方がコストが低い場合、機械に仕事を奪われることになります。逆に考えれば、機械で代替させるにはコストがあまりに大きい仕事に就けば良い、というロジックになります。それを本書では「ある市場や経済圏の中で、その人にしかできない経済圏を作ることが重要」と述べられています。
100分の1の3乗
「ある市場や経済圏の中で、その人にしかできない状況をつくる」ためにはどうすれば良いのでしょうか?本書では1つの考え方として、全く違う分野でそれぞれ100分の1を目指すのをオススメしています。仮に3つの異なる分野で100分の1になることができれば、その3乗で100万分の1になります。そうなれば相当レアな人材になることができます。とは言うもののそれぞれの分野で100分の1になるのもなかなか難しいかもしれません。だからこと本書では「遊びのプロになれ」と言っています。仮に今の仕事を嫌々していれば、好きで仕事をしている人には到底勝てません。なら自分の好きなことに没頭している内に自分が唯一無二の存在になっていれば良いのです。
レア人材になった先に
自分が唯一無二になった後どうなるのでしょうか。一言で言えば「お金」を得ることができます。そのためには「お金」と「信用」の繋がりの歴史を知る必要があります。元々原始社会での人間同士は信頼できる存在ではなく、物々交換をするだけでも、どう信用を示すかが問題でした。しかし、お金を示すことで信用して交換の交渉に持ち込むことができるようになったのです。「お金=価値の存在証明」と本書では定義しています。お金は信用を示すツールなのです。逆に言えば、信用があればそこにお金が集まることになります。クラウドファンディングが好例です。「この人に投資することで、自分にとって有益な情報を提示してくれるだろう」という信用があるからです。
最後に
本書は自分自身がブログを始めたきっかけです。自分自身どうしても仕事に対し待遇が良ければそれで良い、嫌なことがあってもしょうがないという考えのもと生きてきました。ですが本書を読んでいく中でこれからは自分の「好きなことで生きていく」(どこかで聞いたフレーズ)時代であることががわかりました。それは自分の「没頭すること」を発信すれば共感が得られ、それが価値に繋がる時代になってきていること、自分自身に価値を見出すことをしなければ機械に代替されてしまうことからきています。私自身が何をしたいかと考えた際にその一つは「自分の得られた知識を情報社会にアウトプットすること」でした。その一環としてブログを開設し、発信し始めました。正直な所、上手くアウトプットできているとは到底言えませんが、本書で述べられている「毎日発信することを通して思考する癖をつける」ためにブログを更新しています。(全然毎日じゃないですが)これからどう100分の1になっていくかは正直まだ考えられていません。それでも今の自分が「没頭できること」をひたすらやっていければ良いと思っています。
「ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ」の紹介
今回は伊藤守氏著の「ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ」を紹介したいと思います。
ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ
- 作者: 伊藤守
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/03/13
- メディア: 単行本
- 購入: 11人 クリック: 212回
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プロジェクト達成の落とし穴
企業は様々なミッションを持ちそれを達成するためのプロジェクトを計画し、遂行しています。しかし、計画に基づき実行に移しても思った結果が出ない事があります。そのことを突き詰めていくと、「人」の動きが原因である事が多々あります。プロジェクトの計画を遂行し実行するのはシステムや仕組みでなく、「人」です。システムや仕組みはあくまで手段の一つです。計画ではアサインされる人間の適性や志向性は基本的に加味されません。しかし人が計画を実行に移さずしてプロジェクトの完遂には不可欠であり、人が動くための知識・知恵が必要なのです。
二つの時間を作る
マネジャーとして部下の適正、志向性を知るにはまずはコミュニケーションを取らなくてはいけません。そのためには①部下と話す時間 ②部下について考える時間を作る必要があります。
①部下と話す時間
とにかく部下と話すことを本書は推奨しています。席の近くを通った時、すれ違った時、目の前を歩いていた時などどのタイミングでも構いません。そこで時間をとり部下とコミュニケーションを何度も交わすことで、部下自身が自分は大切にされているという信頼関係が少しずつ養われていくからです。
②部下について考える時間
部下と話す時間を得られた際により部下を理解するために、何を話すか(聞くか)を事前に決めて置かなければいけません。そのために、予め部下の基本情報や今の状態、能力、適性などで自分が知っていることを挙げていきます。その上で自分が現在部下について知らない事がわかってきます。知らない事の中には知りたい事があるはずで、それを部下とのコミュニケーションの中で聞きます。
不測事態を部下の成長機会にする
日々の業務では部下に不測の事態(人間関係トラブル、顧客からのクレーム、業務量のの増加、過度なストレスなど)が降りかかることもあります。このような場合は事態が悪化する前に迅速なコーチングが必要になります。しかし、ここで重要なのは不測事態への解決案を提供するのでなく、対応・順応する力を身に付けることです。「不測事態」という受け身になってしまう状況の中で、自分で考え、自分から行動を起こし、後からその行動を自分で評価することを促します。それにより、一連のプロセスを通して自律性のある部下に育ちます。そのためにはマネージャは部下が問題や課題をどう扱うかをコーチします。例えば、
・問題に対して正面から向き合っているか、それとも後ろ向きか。
・今起こっている事態をどのように解釈しているか? どこ角度から見ているか?
などです。適宜、問題を解決するために必要な知識、スキルを教えて部下が自分で対応できるようにします。
質問の粒度を考慮する
3分間コーチングをするには雑談から入るには短すぎるため、具体的な本題にそのまま入ることを推奨しています。部下への話し方として例えば、
「スケジュールについて聞きたい事がある」
「ストレスは溜まってない?」
「人間関係、コミュニケーションについて少し話そう」
などです。このように上司が質問の仕方の見本としつつ、コミュニケーションを始めていくのです。ここで注意すべき点は聞いて意味のない質問(「元気か?」「仕事は順調か?」)などです。部下が「はい」としか答えようがない質問が該当します。このような質問だと、部下から価値のある情報を聞き出す機会を失ってしまいます。
今求められているコーチ型マネジャー像とは
「権威」を使って部下を従えていたマネージャにうって変わって、近年ではコーチ型マネジャーが求められています。従来のマネージャの役割とは以下の点で異なると本書で述べられています。
・従来のマネージャの役割
部下の業務遂行、目標達成を導き、部下の業績向上の責任を持つ。
・コーチ型マネージャの役割
従来のマネージャの役割に加え、部下にコミュニケーション、仕事の知識、スキル、リーダーシップ、問題対応、セルフコントロール、関係構築などの能力を身につけさせる。
ここで重要な点はたとえ問題解決をテーマにするときでも、解決方法をアドバイスしたり解決を指示せず、問題に対し様々な視点をもたらす事です。それにより、部下は問題や課題を解決する過程でどのような能力が必要かということを推察し、自律的に行動するようになるでしょう。そして、そのような積み重ねが個人と組織が双方成長する糧となるのです。
最後に
マネージャではないものの、私自身もうすぐ部下を持つような年次になってきたので本書を読み、コーチングのノウハウについて知りたいと思いました。会社に所属する以上、社長以外は上司と関わる機会は必ずあるため、基本的にはどのような役職でもコーチング「する」、「される」機会はあると思います。そういう意味では本書はどのようなビジネスマンでも役に立つ本だと思います。
「アマゾンと物流大戦争」の紹介
今回は角井亮一氏著の「アマゾンと物流大戦争」を紹介したいと思います。世界の小売業界を席捲しつつあるアマゾンはいかにして成長してきたのか、また日本企業はアマゾンを前にどのような戦略で対抗していくのか、について考察されています。
アマゾンが強大である理由
アマゾンは人によってはAWS(Amazon Web Company)としてクラウドを提供する企業と捉える方もいればネット通販企業と捉える方もいると思います。しかし、本書ではアマゾンを「ロジティクス・カンパニー」と捉え、世界への影響の大きさを指摘しています。ロジティクス(本書では「需要を予測して物の流れや在庫を管理し、円滑かつ低コストに輸送するなど、物流における最適化を図ること」と定義している)は非常に参入障壁が高く、洗礼されたロジティクスを構築するには多くの年月、費用がかかります。ロジティクスは物流の核でありそれがいかに最適化されているかが企業の売り上げ、顧客の満足度に直結します。アマゾンはロジティクスの品質を上げることで商品を低価格で提供し、売り上げを増加させています。そして増加した売り上げを物流センター増設への原資とし、ロジティクスの品質が更に向上するという良循環が生まれます。この良循環で他企業が真似できない低価格を実現する。これがアマゾンが強大であることの理由です。
アマゾンが小売・流通業の「破滅」をもたらす
上記で述べられた良循環により売り上げを飛躍的に伸ばし、扱われる商品も次々と増えます。結果、アマゾンが持つ価格支配力がより大きくなります。日本ではその影響は目に見えてはいないものの、アメリカでは書店や出版社が既に影響を受けています。具体的には2011年に全国に500店舗を書店を展開していた全米2位のボーダーズ・グループが経営破綻しました。
また、アマゾンは最新のテクノロジーを商品配達に利用ことを目指しており、従来の配達方法の「破滅」も画策しています。 2016年には日本でドローン配送により注文後30以内に配送するサービスを計画していました。イギリスでは配送の公開実験に成功しています。
アマゾンに対抗する日本企業
こうしたアマゾンの攻勢に対抗する日本企業を紹介します。
ヨドバシカメラ
サービス産業生産性協議会が2009年より毎年発表をしている日本版顧客満足度指数で通信販売部門でヨドバシ・ドットコムが2016年度に3年連続1位となりました(アマゾンは4位)。その理由はアマゾンを超える物流品質です。ヨドバシ・ドットコムは配送料は当日お届け含め基本無料です。ヨドバシ・ドットコムは専用の物流センターを構築し関東1都6県、関西2府4県で当日配達が可能です。また、ネット通販の購入商品受け取り可能な店舗もあり、ネットにはない利便性も提供しています。
また、全店舗で無料WiFiを提供しています。そのため他社との価格を比較したり、店舗をショールームと捉え購入はネット通販で行うことも可能です。これは当日配送が可能であるために実現できることであり、顧客は商品を持ち帰る必要はありません。このようは方法でヨドバシカメラは顧客満足度をあげています。
ロハコ
ロハコは2012年から個人向けネット通販企業を始め、4年間で250万人の顧客を抱える年商300億円の企業です。その秘訣はオリジナリティー溢れる品揃えにあります。アマゾンの2017年での商品点数は約2億点と言われているのに対し、ロハコは20万と3桁少ない品揃えです。しかし、ロハコしか販売していないミネラルウォーターやお米を提供しています。そのために水販売会社を子会社したり、自前の物流センターに独自の精米センターを開設するなど、アマゾンにはない独自路線を行っています。
また、ロハコはP&G、資生堂、味の素、日清食品など幅広い大手メーカーと商品の共同開発を積極的に行っています。ネット通販では、商品の説明や成分が商品ページで記載されることに加え、実店舗に目につくよう考慮した派手なパッケージにする必要もありません。そのため自由度の高いパッケージを作成することができ、よりターゲットに合わせた仕様を実現することができます。
アマゾンに対抗する戦略とは
日本企業の戦略を踏まえた上で、今後の物流業界では避けられないアマゾンとの競合でどう生き残って行くかの戦略が述べれらています。
①新たなロジスティクスを構築する
商品を当日配送するというスピード配送を競うことに止まらず、より顧客の望む時間帯と指定された場所に届けることが求められています。そのためヨドバシカメラのように店舗受け取りやコンビニ受け取りを実施する動きが出ています。このような顧客のニーズに基づき、どのようなロジティクスを構築するかが生き残る鍵となります。
②独自商品を持つ
アマゾンの方針は「エブリシング・ストア」であり、より豊富な品揃えを提供することにあります。そのためロジティクスへの投資を続け、商品をより低価格で提供することを常に目指しています。それに対抗するにはロハコのようにメーカーと協力し、アマゾンでは購入できない商品を販売することが一つの戦略としてあげられます。また、一般商品として流通していない産地直産の生鮮食品やハンドメイドの取り込みなどにも可能性があると考えられます。アマゾンで扱っていない商品にどう付加価値をつけるかが重要となりそうです。
③ネット販売と店舗販売の使い分け
ヨドバシカメラのように既存の店舗を持っている企業では、在庫管理の一元化とネットと店舗の価格統一が前提となります。近年では店舗を商品を販売する場所でなく商品の良さを伝える場所として提供し、購入はネットで行ってもらうビジネスモデルを持つ企業も存在します。(本書ではワービーパーカーやボノボスという企業を例にあげていました。)このように顧客接点のあり方を再定義し、ネット通販としての新たな価値を見いだすことでアマゾンに対抗する戦略もあります。
最後に
本書は2016年と少々古い情報ではあるものの、アマゾンがいかにして物流業界を席巻しつつあるのか、他の企業はどのようにして生き残っていくのかということがわかりやすく紹介されていました。私自身も日頃からアマゾンを利用する1ユーザとしてアマゾンのビジネスモデルに興味を持ち、本書を読みました。本書ではここで述べられていないアマゾンと楽天の物流の違い(総合ネット通販型とモール型ネット通販の違い)も説明されいます。そこで楽天が現在物流で苦戦している理由が説明されており、とても興味深かったです。興味のある方は是非読んでみてはいかがでしょうか。
「SEの基本」の感想
本書はSEを目指している方、SEになったけど今一度復習したい方向けの内容です。
- 第0章 SEって、いったい何をする人?
- 第1章 SEには、どんなテクニカルスキルが必要か
- 第2章 ソフトウェアエンジニアリングを意識したスキルを形成する
- 第3章 プロジェクトに必要なリーダーシップとチームワーク
- 第4章 プロジェクトを成功に導くマネジメントスキル
- 第5章 これだけはマスターしたいヒューマン系スキル
- 第6章 SEとしての自覚と心構え
- 最後に
第0章 SEって、いったい何をする人?
SEとは?
SEとはシステムエンジニアリングの略です。具体的にはウォーターフォール開発に準じた場合、どんなシステムを開発するかを検討する「システム化企画フェイズ」(要件定義とも言う)からサービス後の安定稼動を実現する「運用保守フェーズ」までを一気通貫で担当する職種です。
SEとプログラマーの違い
SEとプログラマの違いはウォーターフォール開発での各フェーズに照らし合わせると分かりやすいと思います。
SEは上流から要件定義→外部設計→内部設計と進んで内部設計でのアウトプットであるプログラム設計書を作成します。
プログラマーはプログラム設計書をもとにコーディングを行い、プログラムを作成します。今度はSEが再びプログラムをインプットとし単体テスト行います。その後、サービスリリース後の保守運用までSEが担当します。
※厳密にはSEと一口に言ってもプロジェクト管理に特化したSEもいればテクニカル面に特化したSEもいます。SEとプログラマーの役割の範囲もプロジェクトによって異なる場合があります。
第1章 SEには、どんなテクニカルスキルが必要か
業務分析(ビジネス課題の明確化)の重要性
システムは無事開発しても、思ったような効果を得られない、抱えていた問題を解決できないことがあります。これは対象業務の現状分析が不十分だった場合に起こりえる問題です。このような問題が生じないためには業務分析、つまりビジネス課題の明確化が重要です。業務分析では現場業務の問題点を洗い出しどのようなシステムを導入すれば問題を解決するかを検討します。
業務分析に役立つコンサルティングツール
正しく業務分析を行うにはコンサルティングツールの使用が推奨されます。本書ではトップダウンアプローチの際に用いられるツールを紹介しています。ここでは各階層とツールの位置関係を大まかにまとめます。
実際には目的に応じてコンサルティングツールの組み合わせ、業務分析を行います。
第2章 ソフトウェアエンジニアリングを意識したスキルを形成する
開発プロセスモデルとは
どのようなシステムを開発するにしろ、いくつかのプロセスを経て構築されます。その一連のプロセスを「開発プロセスモデル」と言います。主に、分析工程、設計工程、プログラミング工程、テスト工程、運用・保守工程に別れています。実際のプロジェクトではどのような開発プロセスモデルを検討し、適用します。以下では代表的な開発プロセスモデルを紹介します。
①ウォーターフォールモデル
ウォーターフォールモデル(以下WFモデル)とは、1970年代初頭の職人芸的なソフトウェア開発を作成方法から工業製品としての作成方法に変える方法として提唱された開発プロセスモデルであり、現在最も主流となっています。開発プロセスをいくつかの段階に分割し滝のように上流から下流へと設計を行い、各フェーズでの設計に対応したテストを行った後、サービスリリースします。(第0章の図を参照)
②スパイラルモデル
スパイラルモデルはWFモデルの後発で、WFモデルのような工程を順番に進める、ということができない問題に対する解消アプローチとして提唱されています。スパイラルモデルはシステムを独立性の高い部分に分割し、以下の4工程を何度も繰り返し行う開発手法です。各工程はPDCAサイクルの各工程に対応します。
⒈ 目的、代替案、制約の決定 (Plan)
⒉ 代替案の評価・リスク選別と解決 (Do)
⒊ 次レベル製品の開発・検証 (Check)
⒋ 次工程の計画 (act)
上記のように何度も①~④の工程を回すスパイラルモデルはWFモデルの弱点だったオープン化に伴う手戻りリスクなどに効果的です。
③反復型モデル
反復型モデルはシステムを顧客から見た機能で分割し、機能ごとに要件定義、分析、設計、実装、テストを繰り返す手法です。
④各開発手法の特徴
WFモデル、スパイラルモデル、反復型モデルそれぞれの特徴をまとめました。
第3章 プロジェクトに必要なリーダーシップとチームワーク
システム開発力=技術力+人間力
システム開発においては技術力が不可欠ですが、プロジェクトとして見た場合仕事での普遍的なスキルである人間力も必要です。メンバーが問題に直面した際に、速やかにリーダーにエスカレーションを行う、リーダーはメンバーが報告しやすい雰囲気を心がけることが大切です。
リーダーがメンバーのためにすべきこと
各メンバーのまとめ役としてリーダーは以下のことを実行することがプロジェクト推進の鍵となります。
① メンバーの情報収集を怠らない
メンバーが突然倒れてしまうなど突然のトラブルが発生しないよう、常に状況を把握しておきます。
② メンバーのモチベーションをキープする
メンバーは仕事に対するモチベーションを向上させることで、作業品質も向上します。例えばシステムが開発が社会の基幹に関わっていることを知っているかどうかで精神的なコンディションも変わってくるでしょう。リーダーは各メンバーにこのような「価値の合意形成」を実施することが重要です。
③リーダーとしての立ち位置を意識する
リーダーはチームを統率し、プロジェクトの推進のために各種責任と権限を持ちプロジェクトを運用します。メンバーはそれぞれの役割を持ち統率される立場にあります。このような上下関係が明確な状況では、円滑なコミュニケーションや情報がスムーズに流れることは難しいです。そのためにリーダーはメンバーと「想いを共有すること」が重要です。責任と権限で違いはありつつも、組織的にフラットな関係の立ち位置を保つことで、コミュニケーションが活性化され、プロジェクトが円滑に進みます。
第4章 プロジェクトを成功に導くマネジメントスキル
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは
PMBOKとは、PMI(米国プロジェクトマネジメント協会)が定めたプロジェクトマネジメントに関わる知識体系のことです。プロジェクトマネジメントの目的は「システム開発における様々なリスクを考慮し、ソフトウェアを質的に向上させる」ことです。PMBOKという体系だった知識を活用することにより、プロジェクトマネジャーは個人の経験だけに頼ってしまい、生じてしまう考慮の抜け漏れを防ぐことができます。
WBS作成 → スケジュール決定 → 進捗管理
プロジェクトをより管理しやすくするためにタスク単位にプロジェクトを分割したものをWBS(Work Breakdown Structure)と言います。WBSを作成することにより、すべき作業の抜け漏れや作業範囲の認識齟齬を防ぐことができます。またWBSにより分割された各タスクの工数、前後関係を見積りガントチャートによりスケジュールを決定することができます。更に各タスクの担当者を決めることで進捗管理をすることができます。プロジェクトのどの部分が遅れているか、それがどう皇族に影響を及ぼすかをすぐに追うことができればそれはプロジェクトとして管理されていると言えるでしょう。
第5章 これだけはマスターしたいヒューマン系スキル
コミュニケーションスキルの重要性
SEという仕事において技術をより知っているかが多く見られがちですが、コミュニケーションスキルはプロジェクトを推進する上で非常に重要なスキルです。しかし、コミュニケーションスキルの向上は劣後されることが多く、実際の業務で培っていくためにはある程度の業務経験が必要です。プロジェクトにおいて問題が発生した場合、担当者が最初に発見することは多々あります。そこからプロジェクトマネジャーにエスカレーションするまでの時間でプロジェクトへの影響度が変わることもあります。その時、プロジェクトマネジャーにエスカレーションがしやすいかどうかで問題の大きさが変わっていきます。どうしても数字に見えづらい部分が大きいですがコミュニケーションスキルは不可欠なスキルです。
目的を明確に
第4章でWBSで分割された各タスクは担当者に振られます。担当者にはそのタスクの行為だけでなく目的も明確に伝えなければいけません。これは担当者の成長という観点で見た場合、目的と行為が対になって初めてその行為の意味が理解できるからです。逆に行為のみ伝えた場合は担当者はその指示の重要性を理解できないことに加え、経験を得ることができないため、何度も誤った行動を繰り返すことになります。
第6章 SEとしての自覚と心構え
SEであるというプロ意識を持つ
プロ意識を持つかどうかでSEとして成長できる度合いが変わっていきます。SEの業務を通して要素技術を学びたいと思う方は沢山いると思います。しかし第0章で述べたように、SEとはシステム開発検討~サービス開始後の安定稼動の実現まで一気通貫でみる職種です。そのため、自分の興味がある分野の周辺知識も積極的に吸収することが必要です。そのためにプロ意識を持つことが不可欠でなのです。
プロ意識を持つには
SEである以上、何らかのドメイン(公共分野、金融分野、法人分野など)に所属しているはずです。プロ意識を持つには自分が所属しているドメインに誇りと興味を持つことが重要です。興味を持てば、対象をより深く知ろうとします。誇りを持てば、プロ意識の醸成に繋がります。
本質を理解する
ITの技術は発展を繰り返していきます。そのため、自分が得た知識やノウハウが数年経つと時代遅れになってしまう可能性もあります。そうならないためには「本質」を抑えることが何よりも重要です。例えば、ソフトウェアの技術ではまずソフトウェア工学から学ぶのがおすすめです。ソフトウェア工学の目的は複雑したソフトウェアを質的に向上させることだからです。それを理解できればこれからの開発手法や技術が何の目的で定められているかを理解できるからです。
最後に
本書はSEの基本として専門的な話ではなく、その入り口を示してくれる本であり、ヒューマンスキルに焦点を当てた内容でした。ヒューマンスキルは仕事を進めて行く上で基本的なスキルですが若手社員でもベテラン社員でも不可欠なスキルです。SEというと「技術屋さん」というイメージが強いかもしれないですが、本書で紹介されているヒューマンスキルを疎かにしてしまえば大きなトラブルに発展する可能性もあります。そういった意味で今一度SEとして (社会人として) 再確認すべきことを教えて頂いた内容でした。
「神・時間術」の感想
樺沢紫苑氏は精神科医として精神科学や脳科学に基づいた様々な本を書いています。今回その樺沢氏が著者の「神・時間術」を紹介したいと思います。
時間は有限
1日が24時間であることが決まっている以上、人には平等に有限の時間が与えられています。だからこそ有限の時間で何をするのかを突き詰めることは非常に重要です。自分自身が本当にしたいことに時間を充てれば充てるほど、その人の人生はより豊かになって行くはずです。しかし、現状では毎日の仕事に振り回され、自分の時間を中々作ることができない人が多くいます。本書では、そのような人たちに自由時間を作ることができる方法を提供してします。それは「集中力」をベースにした行動です。
仕事量=集中力×時間
集中して取り組むか、ダラダラして取り組むかで一つのタスクに掛かる所要時間が変わってきます。一見残業をすれば仕事量を増やせそうですが、その分集中力が低下し非常に効率が悪いことを本書では指摘しています。逆に集中力をうまくコントロールすることができれば、短い時間で多くの仕事量を捻出することができます。それは残業時間が減り、自由時間が相対的に増えることを意味します。
集中力UPがもたらす好循環
増えた自由時間を自分にスキルアップに充てれば更に短い時間で多くの仕事量を捻出できます。厳密に言えば 仕事量=(個人のスキルレベル)×集中力×時間 です。集中力UP→自由時間UP→自分のスキルがUP→単位時間あたりの仕事量UP→更に自由時間UP という好循環が生まれます。そういった意味でどうすれば集中力がUPするかについて理解することは非常に重要であることが分かります。
集中力(朝編)
朝は「脳のゴールデンタイム」と呼ばれ朝の30分の作業は夜の2時間ぐらいに匹敵すると本書では述べられています。そのため、
①朝の時間をどう確保するか
②確保時間をどう使うか
を知ることが重要です。①は朝シャワーを浴びること、カーテンを開けたままにし日光を浴びることで、起きてすぐにゴールデンタイムに入ることができます。そうすることで夜モード(副交感神経)から朝モード(交感神経)にしっかり切り替えることができるからです。②では自分の仕事の中で最も集中力が必要とされる作業を行います。それにより、高パフォーマンス時に難しい仕事をこなし切ることができます。
集中力(昼編)
昼になると、朝の「脳のゴールデンタイム」が終了し、集中力が少しづつ切れていきます。そのため本書では昼に一度リセットし、集中力を回復する方法を紹介しています。
①外食ランチによるセロトニン効果
②仮眠によるリセット効果
の二つがあります。①では外食ランチによりオフィスから外に出ることで日光を浴び、平常心、リラックスをもたらすセロトニンが活性化します。 ②では20-30分の仮眠を取ることでリセット効果があります。仮眠の仕方は机に顔を伏せる方法でも良いとのことです。リセット効果だけでなく、アルツハイマー病、糖尿病、心臓病リスクが低減される効果もあります。しかし、1時間を超える仮眠は逆効果なので注意が必要です。
集中力(夜編)
夜ではもう一度集中力を高める方法と次の日のためのコンディション作りの方法が紹介されています。以下の2点です。
①軽度な運動によるゴールデンタイムの創出
②寝る前2時間の過ごし方
①では有酸素運動を伴う軽い運動(ジョギング、ウォーキングなど)を30分-1時間弱行うことで集中力がUPします。また、軽い運動は記憶力UPや深い睡眠、モチベーションの向上など多くの副次的な効果ももたらしてくれます。②で次の日のパフォーマスのために疲れを残さないことが大切です。そのために深い睡眠を確保することが不可欠です。本書では集中力(朝編)でも述べた朝モード(交感神経)から夜モード(副交感神経)にしっかり切り替える過ごし方を紹介しています。具体的には寝る2時間前には交感神経が優位となる行動(食事、飲酒、熱い風呂、TVゲーム)は避け、副交感神経が優位となる行動(読書、ペットや家族とゆっくり過ごす、軽い運動をする)を取ることを薦めています。それにより、睡眠へとスムーズに入ることができ、疲労の除去や細胞・臓器の修復が行われます。
自由時間の過ごし方
本書では最後に集中力をうまくコントロールし、自由時間を確保できた時の話を述べています。確保できた最初はより仕事を効率よく回すために自分のスキルアップに時間を充てていることを薦めています。より自由時間が確保できた時にどう過ごすかについて自分自身の「娯楽」について述べられています。娯楽は大きく以下の
①受動的娯楽
②能動的娯楽
に分かれます。①の受動的娯楽はテレビやゲームなど集中力もスキルも不要な娯楽をさしています。②の能動的娯楽はスポーツ、読書、ボードゲーム、楽器演奏などの集中力や目標設定、スキルの向上が必要な娯楽を指しています。能動的娯楽の方が脳のトレーニングにもなり、認知症の予防になることがわかっています。目標設定をし、そのためスキルの向上を心がければ意識的なインプット→アウトプットが行われ、それが自己成長に繋がっていきます。
個人的な感想
本書は日々の仕事に追われ、自分の時間を持てない人たちにそこから抜け出す方法を教えてくれます。本ブログでも集中力UP→自由時間UP→自分のスキルがUP→単位時間あたりの仕事量UP→更に自由時間UPというサイクルを記載しましたが、一番大切なのが一番最初の集中力UPだと思います。日々残業しなくてはいけない人は良い睡眠を取れず、次の日集中力に影響が出てしますからです。そのため、勇気を持って1日を定時で帰る、たまたま早く帰れた日から本書の方法を実践するなどきっかけを大切にすべきです。(自分にも言えることです。)また、自由時間UP=人生が豊かになる、ではありません。増えた自由時間で自分は何がしたいのかをしっかり考え、過ごすことが人生を豊かにするのだと思います。ほとんどの人は自分が所属する会社のために生きている訳ではないはずです。自分なりの人生の目的があり、それに沿って生きたいはずです。本書は自由時間UPまでの方法を教えてくれます。そこからは自分次第です。自分も仕事に追われる生活から自分で自分の人生を過ごせるよう本書の方法を実践していきたいと思います。
「年収1億円になる人の習慣」の感想
山下誠司氏は現在HAIR & MAKE EARTH (ヘアメイクアース)を運営する、株式会社アースホールディングス取締役です。高校卒業後、一人の美容師としてキャリアをスタートさせ、現在取締役をしている異色の経歴の持ち主です。今回はその山下氏が著者の「年収1億円になる人の習慣」を紹介したいと思います。
【第1章】基本の習慣
第1章は仕事に取り組む上での基本的な姿勢、視点が述べられています。そして姿勢であれば【習慣01】「仕事は質よりもスピード。「フライング」なら、なおよし。」、視点であれば【習慣02】「電卓を叩くだけでお金に好かれはじめる」などです。
本書では早起きを薦めており、私も今年から早起きをし始業前に喫茶店で読書などをしています。朝は頭もよく働くことに加え、満員電車も回避できるので始業前に精神的に疲弊することも無くなるのでお薦めです。(本書では著者は4時出社していた時期もあったとのことです。トンデモナイ。。。)
【第2章】仕事の習慣
第2章では実際の仕事でどのような取り組みを行えば良いかが述べられています。本書でのキーワードである「年収一億円になる」ための習慣であるため、よりマネジメント面での習慣がメインです。マネジメントでは部下の能力を最大限に活かすため、【習慣12】「最後に負けておくことができる人が、年収1億円になる」などで下からの意見を吸い上げやすくことができることが特に述べられています。
確かに、部下からの意見を全て突っぱねてしまう上司だと、どんな説明をしても無意味だと感じてしまい、結果下からの意見が上がって来なくなり、適切な経営判断ができなくなる場合も生じることになるでしょう。最後に「負ける」ことで部下に主体的な仕事を促し、力のある組織になっていくのだと思います。
【第3章】生活の習慣
第3章では仕事から離れたところで取り組むべき習慣についてあげています。習慣18「年収1億円の人はタバコは吸わない」、【習慣21】「毎日体重計に乗るだけで年収が上がりはじめる」は健康的な考えというよりかは、数字に強くなる、常に数字を見ているという仕事に直結する習慣です。【習慣18】ではタバコを一定のペースで吸い続けたら人生でどれくらいの費用になるのか、【習慣21】では常に数字(自分の体重)を見続け以上を検知する(体重が短期間で減った、増えた)目を持つための習慣だと言えます。
【第4章】学びの習慣
第4章では個人での学習、また他人との関係の中で得られる学びの習慣について述べられています。自分でできる学びの習慣としては習慣25「毎月3冊本を読むと、今ある問題が解決される」です。
日常で自分自身が出くわす問題、悩みは基本的には過去にも誰かが経験しています。それに関連する本を読めば自分にも適用できる解決策が記されており、大変有効であることが述べられています。上記の関連する本を最低3冊読むことで「偏った知識」のみ得ることを防ぐことができるとのことです。
他人から得られる学びの習慣は【習慣24】「2ランク上の人からのお誘いは、もちろん行きます以外言ってはいけない」です。2ランク上の人から誘いがくるということは、自分に対し、何かしらの「興味」や「期待」を持っています。だからこそ、その誘いのチャンスを絶対に無駄にすべきでないことを述べています。従ってここでは、「2ランク上の人」から何を学ぶか」ではなく、学ぶための意識についての習慣の内容になっています。
【第5章】人生の習慣
第5章では人生で必要な考え方、配偶者の選び方などが述べられています。人生を通しての考え方に関する習慣は【習慣35】「99℃と100℃、この1度の差が人生を分ける」で述べられています。ここでの「99℃」は言葉で言えば「一生懸命」、「100℃」は「本気」です。この二つの温度(言葉)の違いは「退路を絶っているかどうか」の違いにあります。「100℃」(本気)の状態は何かの目標のためなら不要な物を躊躇なく捨てる状態を指します。例えば時間が絶対的に足りなければ、テレビを見る時間、ゲームをする時間など不要な時間を削ぎ落とすなどです。
配偶者の選び方は【習慣33】「お金持ちになる配偶者選びの3つのポイント」で述べられています。具体的な3つのポイントとは、①配偶者に依存しない ②無駄遣いをしない ③配偶者の成功を思ってくれる人 です。互いが互いのことを好きであることに加え、家庭、仕事での配偶者を尊敬し合えることが重要です。そのような関係を気づくことができれば、地に足がつき、仕事に100%打ち込むことができると述べれらています。
最後に
ここで述べられている習慣は特に真新しいことではありません。むしろ基本的な習慣ばかりです。逆に言えば誰も重要だと自覚している習慣を、愚直に続け身に着ける人こそが成功を掴めるということではないでしょうか。
先日イチロー選手が引退されましたが、そのインタビューの中で「自分の限界を見ながらちょっと超えていくということを繰り返していく。それが今の自分を形成している」と言っていました。早起きでも最初は起きれなくても少しづつ起きる時間を早めていく。結果として自分への自由な時間が増えていきます。そういった細かい習慣の積み重ねが豊かな人生への一歩となるのかもしれません。